感染の令和: またはあらかじめ失われた日本へ
- 内容紹介
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衰退・没落の色を日増しに強める令和日本。
「かつては繁栄を謳歌したのに、なぜこうなったのか?」と疑問に思う人も多いはず。
だが戦後日本は、もともと失敗を運命づけられていた。往年の成功は、それがたまたま抑え込まれていた結果にすぎなかったのだ!
七十年以上前から、われわれは「滅び」に感染していたのである。コロナ禍のもと、この病は「現実の否認と解体」という形を取るにいたった……
時代の全貌をつかみ、現実を再建せよ。本書は復活への道を示す「知の黙示録」だ。「美しい調和という「令和」本来の意味とは裏腹に、日本は濃霧に包まれている。
コロナウイルス以前に、日本人の精神が何かに感染しているのではないか?
鬼才、佐藤健志氏がタブーを破り、戦後を呪縛する神話を解いて、
われわれを現実発見へと導く。」 ———堀茂樹氏(慶応義塾大学名誉教授)、激賞!!【目次】
◆プロローグ 令和はすべてが許される
・現実を共有しないことのメリット
・サッバーフの言葉が意味するもの
・インフラの中のインフラ
・あらかじめ失われた国へ
・「ラストディッチ」の病
・今や政府は結果を出せない
・経世済民をめぐる現実の拒絶
・社会はこうして分断される
・再生に向けた跳躍◆第一部 平成までを総括する
1 平成とボヘミアン・ラプソディ
・自由を求めた果ての墜落
・「家」に戻ったロック・スター
・戦後日本はやり直せるか2 手違いで繁栄した戦後日本
・あるべき認識枠組みの根幹
・平和主義、繁栄に貢献す!
・「聞く耳」を持たせるために3 失われた政府への信頼
・中国の覇権も「アジアの解放」だ
・徴兵制のひそかな見返り
・政府、国民の信頼を裏切る!4 「爽快な器」だった安倍総理
・器は空っぽなのが大前提
・政治家は「器」であるべきだ
・総理の姿勢は一貫している!
・戦後の国家観を体現した人物5 特攻隊員を笑いものにしたトランプ
◆第二部 黄昏の現地妻国家
1 ナショナリズムと突然変異
・国家は巨大な「親」である
・敗戦と遺伝子組み換え
・日本再生にひそむ自滅リスク2 日米貿易交渉の真実
・共同声明にひそむカラクリ
・TAGはどこにあるのか
・大ウソの種明かし
・底なしの従属外交3 安倍外交に見る「失敗の法則」
・事なかれ主義が終わらない構造
・グローバリズム丸出しのキレイゴト
・安倍外交、かく完敗す
・国連演説の見識を問う
・さあ、ご主人様にかしずくのだ!4 大国はヤクザ、小国は娼婦
・「東京の誘惑攻撃」とは
・貿易協定の不都合なカラクリ
・これで日本を守る気があるのか?
・ヤクザの情婦は虚心坦懐5 「米朝ツイート会見」の大ウソ
・出来すぎの公式経緯
・北朝鮮のラブコール
・会見の橋渡し役は誰か
・日本はみごとに蚊帳の外6 必殺! 米朝指導者ヨイショ合戦
◆第三部 崩れゆく経済と社会
1 戦後史最後の政治的選択
・与党の選挙結果を検証する
・ニッポンの驚くべき民意
・平和主義と政府不信
・政府不信の論理的帰結
・選挙結果は必然だった!
・野党はなぜ支持されないか
・戦後は続くよ、どこまでも2 消費増税と「日本の自殺」
・なぜ増税が受け入れられるのか
・一九七五年に起きた「エリートの反逆」
・間接税強化で自立心を!
・自殺を逃れようとした果ての自殺3 義務教育の「義務」とは何か
・不登校の原因をさぐる
・「学校疲れ」はなぜ起きたか
・外国人と義務教育
・政府の巨大な現実逃避4 児童虐待の運命的構造
・政府の虐待対策は適切か
・密告を正当化することの危険性
・「愛情による人心掌握」への道
・児童福祉司をめぐる不都合な真実
・大人は社会に虐待されている
・平和主義は子殺しへの道5 嘘と夢のはざまで
・心にまことを持った噓
・夢が噓より悪くなるとき◆第四部 世界観をめぐる逆説
1 ポピュリズム・オブ・ザ・デッド
・ポピュリズムと民主主義
・ゾンビに社会が構築できるか
・そして死者は国を制する2 二〇一〇年代末、世界はみな疲れている
・人は失望によっても疲れる
・グローバリズム疲れの台頭
・ナショナリズムは直立できるか
・ブレグジットの紆余曲折と顛末
・ずっと不人気だったトランプ
・ミニメルケルからニューメルケルへ
・日本に見る「疲れの三すくみ」3 香港騒乱が突きつけたもの
・香港で何が起きていたか?
・問題の根底にひそむトリレンマ
・香港の中国化か、中国の香港化か
・過激化した民主派の行動
・中国との全面対決へ
・香港人の絶望の構造
・われわれの敵も目の前にいる!4 中華未来主義というノスタルジア
・「未来革命」を振り返る
・後の者は先になったか5 MMTとナショナリズム
・「鈴木くん、金は銀行にいくらでもある」
・政治主権・通貨主権・経済主権
・「政府否定」を脱却できるか
・欧米MMT論者の真実
・世界規模の政治主権をつくれ!
・推進すべきは「NMMT」だ6 理念にも動作環境がある
◆第五部 パンデミックと国の行く末
1 予言された疫病の記録
I コロナ対策の王道は何か
・レポート内容を検証する
・死者七万人弱だった可能性
・感染対策と経済対策は矛盾しない
・優秀な国民と無策の政府
・自殺者はいつ増えたかII 疫病対策と政府の役割
・恐怖のハワイ・シミュレーション
・もう一つのアルマ・アタ宣言
・病原体のグローバル化
・二段構えの戦略が必要III 理性の限界を直視せよ
・パンデミック対策の根源的ポイント
・ミニ・マックス法による危機管理
・王道から横着へ
・戦後日本という横着国家
・コロナが突きつけたものは「現実」だ2 パンデミックは愛の行為
・「共生」の魅力をさぐる
・ボディ・ポリティックを守れ3 感染症とボディ・ポリティック
・二つの身体を病から守れ
・予防措置は徹底されなくて当然
・国民を分離できると思うな
・切り捨て肯定は亡国への道
・世界の健康と自国の健康4 「ウイルス保守主義」宣言(1996)
脚注
- 著者プロフィール
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佐藤 健志
佐藤健志(さとう・けんじ)
1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。