感染の令和: またはあらかじめ失われた日本へ

感染の令和: またはあらかじめ失われた日本へ

著者 : 佐藤 健志

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定価 : 2500円(税別)

  • 判型 : 四六判
  • 刊行年 : 2021/12/22 発売
  • ISBN : 9784584139806

内容紹介

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衰退・没落の色を日増しに強める令和日本。
「かつては繁栄を謳歌したのに、なぜこうなったのか?」と疑問に思う人も多いはず。
だが戦後日本は、もともと失敗を運命づけられていた。往年の成功は、それがたまたま抑え込まれていた結果にすぎなかったのだ!
七十年以上前から、われわれは「滅び」に感染していたのである。コロナ禍のもと、この病は「現実の否認と解体」という形を取るにいたった……
時代の全貌をつかみ、現実を再建せよ。本書は復活への道を示す「知の黙示録」だ。

 

「美しい調和という「令和」本来の意味とは裏腹に、日本は濃霧に包まれている。
コロナウイルス以前に、日本人の精神が何かに感染しているのではないか?
鬼才、佐藤健志氏がタブーを破り、戦後を呪縛する神話を解いて、
われわれを現実発見へと導く。」 ———堀茂樹氏(慶応義塾大学名誉教授)、激賞!!

 

【目次】

◆プロローグ 令和はすべてが許される
・現実を共有しないことのメリット
・サッバーフの言葉が意味するもの
・インフラの中のインフラ
・あらかじめ失われた国へ
・「ラストディッチ」の病
・今や政府は結果を出せない
・経世済民をめぐる現実の拒絶
・社会はこうして分断される
・再生に向けた跳躍

 

◆第一部 平成までを総括する
1 平成とボヘミアン・ラプソディ
・自由を求めた果ての墜落
・「家」に戻ったロック・スター
・戦後日本はやり直せるか

2 手違いで繁栄した戦後日本
・あるべき認識枠組みの根幹
・平和主義、繁栄に貢献す!
・「聞く耳」を持たせるために

3 失われた政府への信頼
・中国の覇権も「アジアの解放」だ
・徴兵制のひそかな見返り
・政府、国民の信頼を裏切る!

4 「爽快な器」だった安倍総理
・器は空っぽなのが大前提
・政治家は「器」であるべきだ
・総理の姿勢は一貫している!
・戦後の国家観を体現した人物

5 特攻隊員を笑いものにしたトランプ

 

◆第二部 黄昏の現地妻国家
1 ナショナリズムと突然変異
・国家は巨大な「親」である
・敗戦と遺伝子組み換え
・日本再生にひそむ自滅リスク

2 日米貿易交渉の真実
・共同声明にひそむカラクリ
・TAGはどこにあるのか
・大ウソの種明かし
・底なしの従属外交

3 安倍外交に見る「失敗の法則」
・事なかれ主義が終わらない構造
・グローバリズム丸出しのキレイゴト
・安倍外交、かく完敗す
・国連演説の見識を問う
・さあ、ご主人様にかしずくのだ!

4 大国はヤクザ、小国は娼婦
・「東京の誘惑攻撃」とは
・貿易協定の不都合なカラクリ
・これで日本を守る気があるのか?
・ヤクザの情婦は虚心坦懐

5 「米朝ツイート会見」の大ウソ
・出来すぎの公式経緯
・北朝鮮のラブコール
・会見の橋渡し役は誰か
・日本はみごとに蚊帳の外

6 必殺! 米朝指導者ヨイショ合戦

 

◆第三部 崩れゆく経済と社会
1 戦後史最後の政治的選択
・与党の選挙結果を検証する
・ニッポンの驚くべき民意
・平和主義と政府不信
・政府不信の論理的帰結
・選挙結果は必然だった!
・野党はなぜ支持されないか
・戦後は続くよ、どこまでも

2 消費増税と「日本の自殺」
・なぜ増税が受け入れられるのか
・一九七五年に起きた「エリートの反逆」
・間接税強化で自立心を!
・自殺を逃れようとした果ての自殺

3 義務教育の「義務」とは何か
・不登校の原因をさぐる
・「学校疲れ」はなぜ起きたか
・外国人と義務教育
・政府の巨大な現実逃避

4 児童虐待の運命的構造
・政府の虐待対策は適切か
・密告を正当化することの危険性
・「愛情による人心掌握」への道
・児童福祉司をめぐる不都合な真実
・大人は社会に虐待されている
・平和主義は子殺しへの道

5 嘘と夢のはざまで
・心にまことを持った噓
・夢が噓より悪くなるとき

 

◆第四部 世界観をめぐる逆説
1 ポピュリズム・オブ・ザ・デッド
・ポピュリズムと民主主義
・ゾンビに社会が構築できるか
・そして死者は国を制する

2 二〇一〇年代末、世界はみな疲れている
・人は失望によっても疲れる
・グローバリズム疲れの台頭
・ナショナリズムは直立できるか
・ブレグジットの紆余曲折と顛末
・ずっと不人気だったトランプ
・ミニメルケルからニューメルケルへ
・日本に見る「疲れの三すくみ」

3 香港騒乱が突きつけたもの
・香港で何が起きていたか?
・問題の根底にひそむトリレンマ
・香港の中国化か、中国の香港化か
・過激化した民主派の行動
・中国との全面対決へ
・香港人の絶望の構造
・われわれの敵も目の前にいる!

4 中華未来主義というノスタルジア
・「未来革命」を振り返る
・後の者は先になったか

5 MMTとナショナリズム
・「鈴木くん、金は銀行にいくらでもある」
・政治主権・通貨主権・経済主権
・「政府否定」を脱却できるか
・欧米MMT論者の真実
・世界規模の政治主権をつくれ!
・推進すべきは「NMMT」だ

6 理念にも動作環境がある

 

◆第五部 パンデミックと国の行く末
1 予言された疫病の記録
I コロナ対策の王道は何か
・レポート内容を検証する
・死者七万人弱だった可能性
・感染対策と経済対策は矛盾しない
・優秀な国民と無策の政府
・自殺者はいつ増えたか

II  疫病対策と政府の役割
・恐怖のハワイ・シミュレーション
・もう一つのアルマ・アタ宣言
・病原体のグローバル化
・二段構えの戦略が必要

III 理性の限界を直視せよ
・パンデミック対策の根源的ポイント
・ミニ・マックス法による危機管理
・王道から横着へ
・戦後日本という横着国家
・コロナが突きつけたものは「現実」だ

2 パンデミックは愛の行為
・「共生」の魅力をさぐる
・ボディ・ポリティックを守れ

3 感染症とボディ・ポリティック
・二つの身体を病から守れ
・予防措置は徹底されなくて当然
・国民を分離できると思うな
・切り捨て肯定は亡国への道
・世界の健康と自国の健康

4 「ウイルス保守主義」宣言(1996)

 

脚注

著者プロフィール

佐藤 健志

佐藤健志(さとう・けんじ)

 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。

 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。

 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。

 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。

 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。